現在住宅用太陽光発電システムとして最も多く利用されているのは結晶シリコン太陽電池です。性能面や価格面で以下の長所があるからです。
条件次第で電気を通す性質である半導体としての性質を有します。
半導体としてのシリコンは電子回路の材料として50年以上の歴史があり、電気をよく通す方法もよく研究されています。歴史とともに、使用実績も豊富です。
埋蔵量が豊富。地球の地殻の中で最も多く含まれているのが酸素で46.4%、シリコンは第2位で28.2%です。従って、無尽蔵に存在すると言っても過言ではありません。
しかし、実際には太陽電池には結晶シリコン系以外にも様々な種類があります。様々の太陽電池と比較することで、結晶シリコン太陽電池の特徴を理解していただきたいと思います。
太陽電池は、その中に用いられている材料で以下の3つに分類できます。
これを、もう少し細かく見てみると、下記のようになります。それぞれ に特徴があり、最適な用途もそれぞれ異なります。市場でも様々な種類の太陽電池が棲み分けながら、年と共にシェアが移行してゆくと予測されています。
単結晶シリコン太陽電池
長所 | 発電効率が多結晶に比べて高くなり、曇りや雨の日でも発電しますので日照条件の悪い場所でも一定の能力が発揮できます。 |
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短所 | 価格としては木の無垢材と同じで高くなります。 |
多結晶シリコン太陽電池
お手頃価格のシリコン太陽電池
多結晶太陽電池を材木で例えると集成材になり、今一番多く設置されているのがこのタイプです。
長所 | 加工がしやすく大量生産に向いているために価格は抑えられます。 |
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反面 | 変換効率は単結晶シリコンより低くなります。 |
薄膜シリコン太陽電池(アモルファスシリコン太陽電池)
結晶シリコンの100分の1程度のごく薄いシリコン膜を使う太陽電池です。
変換効率では劣りますが、大量生産しやすく、軽量でフレキシブルなモジュールも造ることができるなどの長所があります。
長所 | 加工がしやすく大量生産に向いているために価格は抑えられます。 |
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反面 | 変換効率は多結晶シリコンより低くなります。 |
CI(G)S系太陽電池
次世代の太陽電池として、今後の開発が期待されます。
変換効率が比較的高く、少ない量の材料で生産可能、温度変化に強いなどの優れた性質があります。
長所 | 省資源でなおかつ多結晶シリコンに次ぐ性能が出せる太陽電池です。量産性やデザイン性が良く、価格を下げる余地も大きいと思われます。 |
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短所 | 現状では、変換効率が多結晶シリコン太陽電池に2割程度及びません。 |
GaAs系太陽電池
主に宇宙用に用いられるもので、集光すると40%以上の変換効率を発揮する超高性能太陽電池です。
非常に高価ですが、地上でも直射日光の多い国や地域での利用が検討されています。
CdTe太陽電池
毒物のカドミウムを使いますが、製造時に使うエネルギーが少なく、実は環境性能が良い太陽電池です。
日本では売られていませんが、価格が安く、欧米などで大規模発電所に利用され始めています。
色素増感太陽電池
製造が容易でカラフルなものが作れる太陽電池です。
量産したときの価格を下げる余地が大きいと期待されています。
今のところ寿命と変換効率が課題ですが、もうすぐ実用化できそうな水準まで開発が進んでいます。
有機薄膜太陽電池
今世紀に入ってから開発が本格化した太陽電池で、有機物を含んだ固体の半導体薄膜を使います。
常温で塗布するだけで製造でき、カラフルで軽量なものも造れる太陽電池です。
量子効果を利用して性能を向上させる技術です。
ナノサイズの微小加工が必要で、太陽電池の中に材料が異なるnmサイズの粒を規則的に並べた構造などが提案されています。
まだ基礎研究の段階ですが、現在の理論限界を破る太陽電池として開発が進められています。
このように太陽電池にはたくさんの種類があります。そして、そのどれもが-少しづつ、でも着実に-改良され続けています。
変換効率の高さが魅力
単結晶シリコン太陽電池を材木で例えると、無垢材になります。