製品比較

太陽電池の種類の詳細

結晶シリコン太陽電池

単結晶シリコン太陽電池
特徴 最初の太陽電池は、1954年、ベル研究所による単結晶シリコン太陽電池です。利用されてきた歴史が最も長く、実績も豊富です。
セル全体が1つのシリコン結晶になっており、原子が規則的に並んでいます(結晶欠陥が少ない。
単位面積当たりの太陽電池の性能に優れ、住宅用太陽電池の中では最も高い変換効率が可能です。
変換効率 15~19%
厚さ 150~200um程度
長所 太陽電池が太陽光を電気に変換する効率(変換効率)が高い。
短所 多結晶と比べると原材料の生産に大量の電力を要し、設備投資額が大きいため、コストがかかる。
製造方法が繊細。
製造方法 多結晶シリコンの塊を石英製のるつぼで溶かし、種になる単結晶を溶けたシリコンの表面につけて、回転させながらゆっくり引き上げると結晶が成長し、円筒状の単結晶シリコンができます。
このときの溶融炉の温度は1,500度です。

 

多結晶シリコン太陽電池
特徴 単結晶シリコン太陽電池のコストを下げるために開発されてきた経緯があり、セルの中に小さなシリコンの結晶がいくつも入っている太陽電池です。
原子の並びは単結晶シリコンほど規則的ではありません。
このため、電子がセル内を移動する際、結晶と結晶の境目でつかまってしまい、その分性能が低下します。また、個々の単結晶の中にも不完全な結晶状態(粒内欠陥)が含まれ、 これらの結晶欠陥は、太陽電池の性能を悪くする働きがあります。
変換効率 13~18%
厚さ 150~200um程度
長所 インゴットを作る時に種結晶から成長させる工程がありません。
1枚のセルの大きさを大きくすることが可能です。
以上2点のため大量生産が可能でコスト面から単結晶シリコン太陽電池よりも有利です。
短所 変換効率の面で単結晶シリコン太陽電池に劣ります。
製造方法 多結晶シリコンの塊を石英製のるつぼで溶かし、鋳型に流し込み冷却すると直方体の多結晶インゴットができます。
このときの鋳型の温度は1,000度です。

シリコン原子の配列状態イメージ図

シリコン原子の配列状態イメージ図

右図は結晶シリコンとアモルファスシリコンの原子配列状況の違いのイメージ図です。
単結晶シリコンでは、1枚のセルが1つのシリコン結晶でできています。
多結晶シリコンでは、1枚のセルに多数の結晶が含まれています。従って大まかな捉え方では、アモルファスシリコン内の原子を結晶に置換えた状態が多結晶シリコンのイメージになります。

 

 

薄膜シリコン太陽電池(アモルファスシリコン太陽電池)
特徴 非晶質とも呼ばれ、結晶系とは違って原子に規則的な並びがない太陽電池です。今後の開発が期待されています。
変換効率 6~9%
厚さ 1um程度
長所 0.5um以下の厚みで太陽光が吸収でき(結晶系は100um以上の厚さが必要)、少量のシリコンで製造が可能です。 200~400度程度で製膜できるため、少量の電力で製造可能です(結晶系は1,000度以上に加熱)。 上記によりコスト面から結晶系シリコンに比べて有利です。 一般に太陽電池は温度が上がると出力が低下しますが、アモルファスシリコン太陽電池は温度が上昇しても出力低下が少ない性質があり、太陽電池1kW当たりの年間発電量kMhは結晶系よりも10%程度多くなります。
短所 太陽光の影響で仕様後数ヶ月間の間に10%程度出力が低下する傾向がありますが、その期間を過ぎると出力が安定します。メーカーの出力表示は出力低下後の数値を表示しています。
現状では結晶系シリコン太陽電池の変換効率に劣ります。
製造方法 石英などで出来た管の中で加熱した基板物質上に、シリコンと水素の化合物シラン(SiH4)という原料ガスと水素を通し、 を供給し、基板表面の化学反応により膜を堆積します。

 

化合物系太陽電池

CI(G)S系太陽電池
特徴 シリコンの代わりに、Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Se(セレン)、S(硫黄)などを用います。代表的なものはCu(In,Ga)Se2やCuInS2などで、それぞれCIGS,CISと略称されます。
CIGSはCISをさらに高効率にしたものです。
製造法や材料のバリエーションが豊富で、低コスト品から高性能品まで対応できるのが特長です。
変換効率 10~12%
厚さ 2~3um
長所 多結晶であるため、大面積化や量産化に向き、次世代の太陽電池として期待されています。
高価な原料を用いますが、薄膜で使用量が少ないため薄膜太陽電池でも、アモルファスシリコン太陽電池の様な太陽光による劣化がありません。
短所 現状では結晶系シリコン太陽電池の変換効率に劣ります。

 

GaAs系太陽電池
特徴 単結晶のGaAs(ガリウムヒ素)を用いるものです。Gaはガリウム。Asはヒ素。
変換効率 30~40%
厚さ 10um程度あれば十分であるとされています。
長所 単接合セルでは最も高い変換効率を出すことが可能です(2005年末の世界記録は25.1%)。変換効率を上げるために多接合にする方法が用いられています。
耐熱性や耐放射線性に優れていることから、宇宙用など、特に高い変換効率が必要な特殊用途に用いられています。
短所 GaAsはシリコンに比べ高価で、純度の高いGaAsを得るのもシリコンより難しいく、脆いため加工も難しいのが問題です。

 

カドミウムテルル(CdTe)太陽電池
特徴 材料にカドミウムを用いるため日本では敬遠されがちですが、薄膜化が可能で高効率の期待できる太陽電池です。
変換効率 6~9%
長所 製造法のひとつの「スクリーン印刷法」は、印刷の手法で製造できるため、低コスト・大面積が可能です。
短所 欧米では実用化されていますが、日本では高毒性であるカドミウムのイメージが悪いためほとんど普及していません。

 

有機系太陽電池

色素増感太陽電池
特徴 一方の電極に色素のついた酸化チタンなどのナノ粒子を塗り、もう一方の電極との間に電解液を閉じ込め、全体をガラス板ではさみます。 太陽光を吸収した色素から電子が生じ、酸化チタンを介して電流が流れます。
色素によって光エネルギーを利用する点では光合成に似ています。
変換効率 5~6%
長所 色素を選べばカラフルな太陽電池を作ることが可能です。
材料が色素であること、セルの構造が簡単であること、特殊な製造装置を必要としないことから安価な太陽電池を作ることが可能で現在の1~数割程度のコストで製造できると考えられています。
短所 変換効率が低いことや、電解液の漏れ出しにより寿命が短いことが挙げられます。

 

有機薄膜太陽電池
特徴 p型半導体に導電性ポリマー、n型半導体に特殊な構造をした炭素であるフラーレン(構造がサッカーボール状)を使用する太陽電池です。
開発が進めば、上記の色素増感太陽電池よりもさらに構造や製法が簡便になると言われています。
21世紀に入ってから盛んに開発が行われるようになっており、より高効率の出る材料の探索が進められています。
変換効率 単接合では4~5%程度、多接合では6.5%
長所 色素増感太陽電池の様に電解液を用いないために柔軟性や寿命向上の上でも有利です。
色素増感太陽電池よりも安価な太陽電池になる可能性があります。
短所 変換効率が低いことが挙げられます。

 

多接合型(タンデム型)

特徴 一般的な太陽電池はPN接合を1つだけ使いますが、PN接合「リンク」を複数重ね合わせたものを言います。
異なる波長の太陽光を吸収するシリコン層を重ねて変換効率を向上させます。アモルファスシリコンと各種の結晶シリコンを積層したものなどがあります。
変換効率 10~12%
厚さ 2~3um程度
長所 生産時に省エネが可能かつシリコンの使用料が少なくて済みます。
太陽光スペクトルを幅広く利用して変換効率を向上させることが可能で、変換効率15%を目指して実用化研究が進められています。
短所 現状では結晶系シリコン太陽電池の変換効率に劣ります。

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